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「スイスの時計」という名のドイツブランド”クロノスイス”。この一聞すると妙な響きは、創業者 = ゲルト・R・ラングの時計産業への深い愛情の表れなのである。独立した1981年とは、時計業界が日本発のクォーツショックにみまわれ、スイスを中心とした機械式時計メーカーは存亡の危機に直面していた。そんな折、現・タグホイヤー社でも研鑽を積んだ同氏は再び来るべき機械式時計の復興を信じ、ドイツ・ミュンヘンに戻りクロノグラフ工房を開設。ムーンフェイズ表示も可能にした機械式クロノグラフが脚光を浴び、1983年にはクロノスイス社としてスタートさせた。そして時代に反しながらも、1987年には初の量産型”レギュレーター”を発表。その独創的な機構に加え、コインエッジ型のケースサイドや大きなオニオンリューズ等、オリジナリティー溢れるデザインにも注目が集まった。1995年には世界初のスケルトンクロノグラフ「オーパス」を、1996年には「デルフィス」を発表しデジタル/アナログ表示とレトログラード機構を合わせて特許取得。2001年にも世界初のレギュレーター式クロノグラフ「クロノスコープ」等、独自の機構や特許を量産して時計業界の復興を助けた。
近年でも、シンプルなモデル「パシフィック」からクォーターリピーターやトゥールビヨンなどの超複雑系まで、奥行きの深いそのコレクションは真の時計ファンをも満足させる。2012年には実業家、オリバー・エブシュタインが買収し、本社をスイス・ルツェルンに移しているがラング氏も相談役として事業に関与し、ブランドのアイデンティティーは色褪せること無く次世代に受け継がれている。