時計機構に関する特許が70を超えるパテックフィリップの技術は20世紀初頭には熟成され、世界最高峰の時計メーカーとして認知されていた。1932年に傑作「カラトラバ」が開発された以降も、技術革新は続き、幾多のラウンドケースを始めとした時代の結晶が世界中の時計ファンを魅了。今でも“オールドパテック”と呼ばれ、アンティークの世界でもパテックフィリップが生んだタイムピースは、その技巧に一点の曇りもなく、価値を温存しながら現在まで受け継がれている。人気の中心はやはり「クンロク」から大きな足跡を遺したカラトラバだ。品番は同じでも文字盤の種類は極めて豊富なバリエーションをもつ。インデックス一つをとってもバーやアラビア、ブレゲなどがあり、針もリーフ、スペード、ドルフィンといった様々なハンドを使用している。
1930年代から1960年代を見渡すと、カラトラバ以外にも卓越した技術から創生された傑作揃い。亜熱帯地域向けに変色や退色に強いエナメル文字盤を用いた「トロピカル」、バッタの脚のようなグラスホッパーシェイプのラグを持つラウンドケースなど、魅力的なタイムピースが並ぶ。ムーブメントは繊細でありながら実用性にも長ける。不動の地位を築いた技巧と貫禄を感じさせてくれる。